親の介護は、ある日突然始まる。介護離職を経験した私が、先に知っておきたかったこと

家族の備え

親の介護や病気について、「元気なうちに考えておきましょう」とよく言われます。

正直、私はまったく考えていませんでした。そして、それは本当にある日突然、始まりました。

この記事は、実際に介護のために会社を辞めた私が、あの時の自分に渡したかった情報をまとめたものです。重い話も含みますが、結論は「不安になってほしい」ではなく「選択肢を先に知っておいてほしい」です。

わが家の場合:本当に、突然だった

私の場合、離れて暮らす父と同居していた弟が病気で急逝し、その後すぐに、父がステージ4のがんで余命6ヶ月と告げられました。

考える時間なんてありませんでした。私は一人暮らしとなった父の介護のために仕事を辞めることを選びました。

その選択自体に、後悔はありません。結果として父は余命宣告から2年半生きてくれました。そばにいられた時間を思えば、十分すぎるほどです。

ただ、正直に書くと——介護離職のあと、生活は厳しくなりました。 収入が絶たれた状態での介護は、想像していたよりずっと重く、私はその後、再就職することになります。

だからこそ思うのです。あの時、制度や選択肢を知っていたら、「辞める」以外の道も検討できたはずだと。

先に知っておきたかったこと4つ

1. 「介護離職」の前に、使える制度がある

会社を辞める前に、確認すべき制度があります。

  • 介護休業:家族の介護のために、通算93日まで休業できる法律上の制度(分割取得も可)
  • 介護休暇:年に数日単位で取れる休み
  • 時短勤務や残業免除などの両立支援

当時の私はこれらをほぼ知らず、「介護=辞めるしかない」と思い込んでいました。介護休業は「介護に専念する期間」というより、介護の体制を整えるための時間として使えます。制度の詳細は勤務先の就業規則と厚生労働省の情報で確認してください。

2. 最初の相談先は「地域包括支援センター」

介護が始まると、何をどこに相談すればいいのか分からず、情報の海で溺れます。

覚えておいてほしいのはひとつだけ。親が住む地域の「地域包括支援センター」が、介護の総合窓口です。介護保険の申請、ケアマネジャー、利用できるサービス——最初の一歩はすべてここから始まります。無料です。

親が元気なうちに、場所と連絡先をメモしておくだけで、いざという時の初動がまるで違います。

3. お金の見通しを、感情と切り離して立てる

介護の場面では、「お金の話をするのは薄情な気がする」という気持ちが働きます。私もそうでした。

でも、介護は長期戦です。父は余命6ヶ月と言われて2年半生きました。それ自体は本当にありがたいことでしたが、「短期決戦のつもりの家計」は持ちません。

  • 親自身の年金・貯蓄で賄える範囲はどこまでか
  • 介護保険でカバーされるサービスは何か
  • 自分の収入を止めた場合、何ヶ月もつのか

この見通しがあるかどうかで、選べる選択肢の数が変わります。

4. ひとりで抱えない

介護を担う家族が仕事を辞め、収入と社会とのつながりを同時に失う——これは本当に起こることです。私は再就職できましたが、介護離職からの復帰は簡単ではありませんでした。

ケアマネジャー、地域包括支援センター、会社の制度、きょうだいや親族。使えるものは全部使って、「自分が全部やる」を最初から選ばないこと。それは薄情さではなく、介護を続けるための体力配分です。

備えは、不安のためではなく選択肢のため

こういう話を調べるのは、正直気が重い作業です。考えたくないことを考えるからです。

でも、経験して分かったのは逆でした。「何かあったらどうしよう」という漠然とした不安が、「何かあったら、まずここに連絡する」という具体的な段取りに変わる。備えは、心配を増やすためではなく、いざという時に選択肢を持つためのものです。

まとめ

  • 介護は突然始まる。「まだ早い」と思っているうちが、備えどき
  • 辞める前に、介護休業などの両立制度を確認する
  • 最初の相談先は、親の地域の「地域包括支援センター」
  • お金の見通しは、感情と切り離して早めに立てる
  • ひとりで抱えない

親が元気な今できることは、たったひとつでいい。
親の住む地域の「地域包括支援センター」を検索して、連絡先をスマホにメモしておく。それだけで、未来のあなたの初動が変わります。

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