誰も住んでいない実家の電気、基本料金だけ払い続けていませんか

暮らしとお金

相続した実家に、誰も住んでいません。それでも電気の契約は残したままです。

荷物の整理に月に一度行くくらいで、照明もほとんど使いません。それなら解約すればいいと思っていたのですが、調べていくうちに「完全には止められない」ことが分かりました。

この記事では、空き家の電気をどう扱うか迷っている方に向けて、わが家で実際に確認したことと、契約を見直したときのことを書いておきます。

誰も住んでいないのに、電気を止められない理由

実家には浄化槽があります。下水道が通っていない地域の住宅で使われる、生活排水を処理する設備です。

この浄化槽には「ブロワー」という送風機が付いていて、24時間動かし続けるのが基本とされています。浄化槽の中では微生物が汚れを分解しているのですが、その微生物は酸素がないと生きられません。ブロワーが空気を送り込むことで、内部の環境が保たれています。

つまり電気を止めると、送風が止まる。送風が止まると、微生物が死ぬ。微生物が死ぬと、浄化の機能そのものが失われます。

復旧させるには、清掃や種汚泥の投入といった作業が必要になることがあり、専門業者への依頼になります。数か月分の電気代を節約するつもりが、かえって高くつく可能性があるわけです。

浄化槽以外にも、電気を止められない理由が出てくる家はあります。

  • 給湯器や水道管の凍結防止ヒーター(寒冷地)
  • 防犯用のセンサーライトや監視カメラ
  • 換気扇(湿気やカビの対策として動かしている場合)

まず「この家で何が電気を使っているのか」を把握するところからだと思います。わが家の場合は浄化槽だけでした。

使っていないのに、毎月かかるもの

ここで問題になるのが基本料金です。

多くの電気料金プランは、「基本料金」と「電力量料金」の二階建てになっています。電力量料金は使った分だけかかるもので、使わなければ減ります。一方の基本料金は、使用量がゼロでも毎月発生します

基本料金の額は契約アンペアで決まります。一般的な家庭だと30Aや40Aで契約していることが多く、人が住んでいた頃の契約がそのまま残っているケースは珍しくありません。

実家も、そうでした。人がいた頃と同じ契約のまま、浄化槽のブロワーだけが動いている状態です。

使用量はごくわずかなのに、毎月きっちり基本料金が引き落とされていく。この構造に気づいたのが、見直しのきっかけでした。

基本料金のないプランという選択肢

電力自由化以降、料金プランの種類が増えました。その中に、基本料金が設定されていないプランがあります。使った分だけを支払う形です。

一般的な家庭では、基本料金がない代わりに電力量料金の単価がやや高めに設定されていることが多く、たくさん使う家庭では必ずしも有利になりません。

ただ、空き家のように使用量が極端に少ない場合は、話が変わります。使用量が少ないほど、二階建ての「一階部分」である基本料金の比重が大きくなるからです。使う量がほとんどないなら、基本料金がないプランと噛み合います。

ここは家庭ごとに条件が違うので、ご自身の使用量で確認していただくのが確実です。

プランを比べるとき、検針票のどこを見るか

比較の出発点は検針票(もしくは電力会社のマイページ)です。見るのは次の4つで足ります。

  • 契約プラン名 — いま何のプランなのか
  • 契約アンペア — 基本料金の額を決めている数字
  • 使用量(kWh) — 実際に使った量
  • 請求額の内訳 — 基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金

空き家の場合、使用量の欄を見ると想像以上に少ない数字が並んでいるはずです。その数字と基本料金を並べてみると、いま何にお金を払っているのかがはっきりします。

できれば1か月分ではなく、季節をまたいで数か月分を見るのがいいと思います。凍結防止ヒーターのように、冬だけ動くものがあるからです。

実際に切り替えたときのこと

2026年3月、地域の大手電力会社から新電力会社へ切り替えました。基本料金のないプランを選んでいます。社名は伏せますが、探せば同種のプランはいくつか見つかります。

手続きはネットだけで完結しました。フォームに検針票の情報を入力して送信するだけで、電力会社への連絡や工事の立ち会いはありません。申し込んだその日のうちに契約が成立しました。

スマートメーターが設置済みだったことが大きかったと思います。設置されていない場合は交換工事が必要になり、その分だけ日数がかかります。

料金については、わが家の場合は次のようになりました。

  • 初月と2か月目 — 契約時の割引が適用され、請求は0円
  • 3か月目以降 — 月1,000円未満

ただしこれは、浄化槽のブロワーだけが動いている空き家で、かつ契約時の割引があった場合の金額です。人が住んでいる家では当てはまりませんし、割引の内容も時期によって変わります。あくまで「こういう条件だとこうなった」という一例として読んでいただければと思います。

空き家の電気を見直すときに、確認したいこと

実際にやってみて、先に確認しておけばよかったと思ったことを挙げておきます。

何に電気を使っているかを把握する
これが最初です。浄化槽なのか、凍結防止なのか、防犯設備なのか。使っているものが分かれば、必要な電気の量も見えてきます。

契約期間と解約金の有無
プランによっては、一定期間内に解約すると違約金が発生します。空き家は売却や解体の可能性もあるので、縛りの条件は先に見ておいたほうがいいと思います。

スマートメーターが設置されているか
設置済みなら手続きが早く済みます。古い家だとまだの場合があるので、検針票やメーターの見た目で確認できます。

支払い方法
クレジットカードのみ対応というプランもあります。口座振替を希望する場合は、事前に確認が必要です。

まとめ

空き家の電気は、止められないのに使ってもいない、という中途半端な状態になりがちです。そのまま人が住んでいた頃の契約を続けていると、使っていない分の基本料金を払い続けることになります。

まずは検針票を開いて、使用量と基本料金を並べて見るところから。それだけでも、いま何にお金を払っているのかは見えてきます。

実家の管理は、やることが多いわりに後回しになりがちです。電気の契約は、その中では比較的すぐに手をつけられる部分だと思います。

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