現場を離れて、パソコン一つでできる仕事に移れないだろうか。体を動かす仕事を続ける中で、そう考えたことのある方は少なくないと思います。実際のところ、現場仕事から在宅勤務(リモートワーク)の職へ移ることは、どのくらい現実的なのでしょうか。求人サイトを見れば「未経験歓迎」の在宅求人は数多く見つかりますが、それが実際にどの程度の可能性を示しているのかは、調べてみないと分かりません。この記事では、公開されている統計や求人業界の情報をもとに、正社員としてリモートワーク職へ転身する道について調べてみました。
まず押さえておきたい、普及の実際
正社員のテレワーク実施率は22.5%
パーソル総合研究所が2025年7月に実施した調査によると、全国の正社員のテレワーク実施率は22.5%で、前年同期の22.6%からほぼ横ばいとなっています。急速に広がった時期を経て、現在は定着した水準で安定している段階だと考えられます。総務省が2023年時点で行った通信利用動向調査では、テレワークを導入している企業の割合は約50%と報告されています。
職種による差が大きい
ただし、この実施率は職種によって大きな差があります。コンサルタントで62.2%、IT系技術職で58.3%と高い一方、現場での作業や対面対応が前提となる職種では、そもそもテレワークという選択肢自体が存在しないことが多いのが実情です。地域別に見ると関東圏で3割を超える水準となっており、都市部のオフィスワーク中心の業種で普及が進んでいることがうかがえます。一部の大企業では出社を原則とする方針への回帰も見られており、テレワークが一様に拡大し続けているわけではない点にも注意が必要です。数字だけを見ると、現場仕事からの転身は狭き門に見えるかもしれませんが、裏を返せば、職種を選べば一定の実施率を保っている分野があるということでもあります。
未経験からの転身が難しいと言われる理由
研修や指導が届きにくい
調べてみると、未経験からいきなりリモートワークの職に就くことは難しいとされる傾向が、複数の情報源で共通して指摘されていました。最大の理由は、業務の進め方や使用するツールへの理解が不十分なまま働き始めると、会社が求める水準の成果を出しにくいことにあります。対面であれば横についてすぐに教えられることも、離れた場所では研修や指導が行き届きにくく、企業側もその点を懸念しています。
実績のない未経験者は不利になりやすい
また、リモートワークは自己管理や実績に基づく信頼関係のうえに成り立つ働き方でもあります。これまでの実績を示しにくい未経験者は、その点で不利になりやすいというのが実情のようです。企業の側にも「部下の様子が見えにくい」というマネジメント上の課題が残っており、慎重な姿勢を取る企業が一定数あることも、未経験からの転身のハードルを上げている要因だと考えられます。現場での経験がどれだけ豊富であっても、それだけでは在宅勤務の実務スキルの証明にはならない、という点は理解しておく必要がありそうです。
挑戦しやすいとされる職種の傾向
業務がルール化しやすい職種
それでも、未経験から挑戦しやすいとされる職種の傾向はいくつか見えてきます。1つは、業務の手順がルール化しやすい職種です。データ入力や一般的な事務作業は、定型的な業務が多く、比較的短い研修で始めやすいとされています。あらかじめ回答の型が整えられているカスタマーサポートや、専門資格を必要とせずオンライン化が進んでいる営業職(インサイドセールスなど)も、挑戦しやすい職種として挙げられていました。
学習した成果を形にできる職種
もう1つの傾向は、自主学習の成果を目に見える形で示せる職種です。ITエンジニアやWebデザイナー、Webライター、デジタルマーケティングといった職種は、スクールや教材などの学習環境が整っており、自分で作った制作物や実績(いわゆるポートフォリオ)を用意することで、経験の少なさを補いやすいとされています。人手不足を背景に、ポテンシャルを見て採用する企業も一定数あるようです。学習を始めてから成果物ができるまでには一定の期間がかかるため、思い立ってすぐに転身できるわけではない、という前提は持っておいたほうがよさそうです。
転身を目指すなら準備しておきたいこと
基本的なITスキルとコミュニケーション力
調べた情報を総合すると、未経験からの転身に向けて準備しておくとよいとされているのは、大きく2種類のスキルです。1つは基本的なITスキルで、パソコン操作やオフィスソフトの扱いに加えて、オンライン会議ツールやタスク管理ツールをひととおり使える状態にしておくことが挙げられています。もう1つは、業種を問わず役立つ「ポータブルスキル」で、なかでも文字で結論から的確に伝えるテキストコミュニケーション能力と、誰の目もない環境で自分を律して業務を進める自己管理能力が、特に重視される傾向にあるようです。
自分で調べて動く姿勢と、実績の可視化
加えて、疑問が生じたときにまず自分で調べて動く姿勢や、学習した内容を形として残しておく準備も、共通して挙げられているポイントでした。自宅で安定して働ける通信環境やデスク周りを整えておくことも、基本的ではありますが見落とされがちな準備の一つです。前職が現場仕事であっても、段取りを組む力や、状況に応じて周囲と調整してきた経験は、ポータブルスキルとして評価される余地があると考えられます。畑違いの経験だからといって無価値になるわけではなく、どう言い換えて伝えるかという工夫の余地があるということです。
調べてみて分かったこと
現場仕事からリモートワークの職への転身は、決して簡単な道ではありませんが、戦略的に準備を進めれば十分に目指せる範囲にあるというのが、今回調べた情報から見えてきた実感です。テレワークの実施率そのものがまだ全体の2割程度にとどまっている以上、門戸は限られています。加えて、未経験であることが不利に働きやすいのも事実です。一方で、業務がルール化しやすい職種や、学習成果を可視化しやすい職種を選び、必要なスキルをあらかじめ整えておくことで、道が開ける可能性は十分にあります。情報源によって「未経験からのリモートは難しい」と強調するものもあれば、「準備次第で十分可能」とするものもありましたが、いずれも共通していたのは、学習・環境整備・研修制度のある企業選びといった、丁寧な準備が欠かせないという点でした。
まとめ
現場仕事からリモートワークの職への転身は、実施率の低さや未経験というハードルがある一方、業務内容を見極めた職種選びと準備次第で現実的な選択肢になり得ることが、今回の調査から見えてきました。すぐに結論を出す必要はありませんが、まずはどんな職種にどんなスキルが求められているのかを知ることが、最初の一歩になると思います。副業として在宅ワークから始める場合の考え方については在宅ワークにはどんな種類がある?スキルなしから始める場合の現実的な順番をご覧ください。転職活動そのものの進め方については転職エージェントは「辞める人」だけのものじゃない、転職を迷っている人へ|2回の転職で分かった、決め方より大事なことも参考にしていただければと思います。現場監督としての働き方については現場監督(施工管理)はなぜきつい?仕事内容とリアルな日々を未経験入職の経験から解説で詳しく解説しています。


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